はじめに
2025年の6月1日、ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーは物語的に一旦のターニングポイントを迎えました。
新たな世界が再構築され、主人公が変わる?等と考察と憶測が飛び交う昨今ですが…。
ここで本編の第1話から15話までを振り返り、「ぶっちゃけゴジュウジャーって作品としてどうよ?」という話をしていきたいと思います。
ちなみに筆者である私自身のゴジュウジャーの現評価は、残念ながら全シリーズと比較して中の下辺りだと考えています。
とはいえ別に批判をしたいわけではなく…このゴジュウジャーという作品、脚本およびキャラの心情が全然読めないので、良し悪しの判断が難しいのです。
とどのつまり、キャラそれぞれに感情移入がし辛い!
多分そう考えてる人って一定数いるんじゃないかな?と思ってますので、一緒にここまでのお話を振り返っていきましょう。

できるだけ感情的にならず、冷静に分析していこう!
話数ごとの解説と感想
第1話 救世主ナンバーワン!
家族も友達もいない遠野吠(冬野心央)は、なにかとアルバイトをすぐクビになる“はぐれアルバイター”として生活していた。そんなある日、悪の軍団ブライダンの特攻隊長・ファイヤキャンドル(三本木大輔)が、突然街に現れて暴れ始めた。その目的は、集めるとなんでも願いがかなう“指輪”を手に入れることだ。
ファイヤキャンドルの攻撃で吹き飛ばされた吠は、異空間で“指輪”を見つける。そこで、「指輪がもたらすあらゆる戦いで、頂点を目指せ」という謎の声を聞き…!? やがて彼は、指輪の契約をしてゴジュウウルフになり、ブライダンに立ち向かう。
“はぐれ者たち”が目醒め、指輪をめぐる戦いが今始まる!
50周年記念作品ということで、歴代の先輩ジャーたちと指輪争奪戦をする、某世界の破壊者のような作品として放送を開始した本作。
スーパー戦隊シリーズは、35周年で”全てのスーパー戦隊に変身できる”海賊戦隊ゴーカイジャー、45周年で”全てのスーパー戦隊の力を独自の解釈で操る”機界戦隊ゼンカイジャーと、節目節目で俗にいうお祭り作品を輩出してきました。
今回のゴジュウジャーもその系譜として、”全てのスーパー戦隊と争う”戦隊と言えるでしょう。
その片鱗が見えた第1話終盤…、堤なつめという『前作ブンブンジャーのレッド役の役者が、前々作のキングオージャーのレッドに変身する』という違和感まみれの展開で幕を上げました。
歴代レッドは確かに登場するものの、歴代の先輩たちの世界とは無関係。という、マルチバースの手法が特徴的な本作。
まあ、その展開に関しては特に問題はないかと思います。
歴代作品へのリスペクトが足りない…なんて野暮なことは言いません。そんなこと言ってたらとてもじゃないけど清濁併せ吞む歴代スーパー戦隊を30年近くリアルタイムで視聴なんかできません。
さて、肝心要の第一話でしたが、やはりここで打ち出した上記のような型破りなスタンスが、視聴者側の理解の外過ぎて、受け入れるのに難航した印象でした。
なんというか、楽しさ以上に、戸惑いが勝ってしまうような…。良い悪い以前に、分からないといった感覚が正しい気がします。
これが明確にダメな作品だったら、「そういうタイプね」という形で開き直って視聴出来るのですが、本当にどう転ぶのか全く読めないので、何も判断できない第一話でした。
第2話 ブン捕れお宝! 俺の獲物だ
異空間で見つけた“指輪”と契約し、ゴジュウウルフとなって、ブライダンを退けた遠野吠(冬野心央)。しかし今度は、クワガタオージャーになった堤なつめ(井内悠陽)と戦うことに…。その理由は、指輪を持つ者がみんなライバルだからだ。そんなとき、どこからか飛んできた弾丸に戦いをジャマされ、堤は去っていった。
ひとまず吠が喫茶・半世紀に戻ると、オーナーの飯島佐織(中越典子)に危機が…。突然現れたトレジャーハントノーワンと吠が戦おうとする中、さらに新たな指輪の戦士・百夜陸王(鈴木秀脩)と暴神竜儀(神田聖司)が現れた! 陸王はゴジュウレオンに、竜儀はゴジュウティラノになり、吠とトレジャーハントノーワンの4人でトレジャーハント対決をすることに…!
吠の仲間でありライバルである青、黄メンバーの登場と共に、本作の敵ノーワンが仕掛けるナンバーワンバトルが初開催された第2話。
1話に引き続いて争っていた堤なつめはここで途中退場し、ブライダンと本腰を入れて戦っていくようになりました。
吠はトレジャーハントノーワンのお宝鑑定バトルを、参加者からぶん捕って勝利するというおよそヒーローにあるまじき略奪行為で勝利しました。
しかもその略奪も、子供を虐めていた子が物を力ずくで奪い取っていたところから発想を得るという、あまりにもチンピラ染みた手法で、いくらアウトローが許される現代でも憚られるレベルに気分の悪い流れでした。
まあ分かりますよ?ノーワンの仕掛けてくるナンバーワンバトルは、基本的に正攻法では攻略不可能なので、吠のような型破りな発想が必要になるという事は。
ただ、型破りにも程があるのです。
アウトローや、ダークヒーローが良しとされているのは、彼等にも守るべき信念があって、それを本編中にしっかりと描いているから。
吠に関して言えば、人と群れたくないとか、夢がないとか、今のところ自分本位な部分しか見えてこないので、ハッキリ言ってただのケダモノにしか見えません。
言い方が悪くなって大変申し訳ないのですが、この時点では好きとか嫌い以前に、1人の人間として見ることが出来ないです。
この第2話の時点で、作品全体については判断がつかないものの、私の遠野吠への評価は地に落ちました。
第3話 日本のドン! 私が総理!
アルバイト中に“うさん臭くていけ好かない桃の匂い”が気になって仕方がない吠(冬野心央)。吠がその匂いの元を追うと、大勢の人に演説している総理大臣・熱海常夏(七瀬公)にたどり着いた。実は常夏も、指輪の戦士の1人最強で人気者な常夏はドンモモタロウにチェンジして…!?
いったんテガソードの里に戻った吠が、常夏の指輪を奪うか考えていると、謎の女性・一河角乃(今森茉耶)が現れた。彼女と暴神竜儀(神田聖司)は、緊迫した雰囲気になり…!?
やがて吠たちは、人気者ノーワンと人気者ナンバーワン対決をすることに。そこへ常夏も加わり、バトルは超カオスな展開に!
ドンモモタロウに変身できるこの世界の日本の総理大臣、というあまりにもインパクトのでかすぎる登場をした熱海常夏。
ここで新たなユニバース戦士が登場したことで、ゴジュウジャーのコンセプトが少しずつ受け入れられるようになりました。
歴代戦隊のレッドという、所謂いち作品のコンセプトの体現者を、ゴジュウジャー独自の解釈とずらしを盛り込んで作品テーマのアンチテーゼを表現する。それがゴジュウジャーのコンセプトと考えます。
この熱海常夏で言うなら、「他人から好かれる嘘つき」という要素が、ドンモモタロウのオリジナルである桃井タロウの「他人から嫌われる正直者」のアンチテーゼと言えます。
少し前だと仮面ライダージオウのアナザーライダーもこのアンチテーゼ要素がありました。
こういった歴代作品のファンだからこそ理解できるものというのは、同じくファンである私のような人間からすると面白いものですが、知らない人間からすれば受け取り方次第で神にも悪魔にもなりえる危うい要素とも言えるでしょう。
第3話は、歴代ファンの視点としては楽しく視聴できたものの、「これは初心者にはおすすめできない」と明確に結論付けてしまえる展開でした。
第4話 パーリィタイム☆夢見るじじい
吠(冬野心央)たちの前に突然現れたゴジュウイーグルの正体は、なんとおじいちゃんだった! おじいちゃんこと猛原譲二(小林正樹)は、青春をやり直すべく若返って高校へ。ワケあって猛原禽次郎(松本仁)と名乗り、クラスで友達ができるが…!? そこへパリピノーワンが現れ、パーリーピーポーナンバーワン対決が開幕する!
一方、“ある目的”のために動く角乃(今森茉耶)は、リュウソウレッドに襲われそうになるが、常夏(七瀬公)に助けられ…!?
緑枠の登場回。
おじいちゃんが若返って戦うというのは、シンプルに面白い試みだと思います。なんというか、ゴジュウジャーという作品にあるまじき真っ当な破天荒さを感じました。
先立たれた妻の遺言に従い自由に生きる事を望むも、本来の真面目さから思うようにいかず、家族との仲にも悩まされるという、今までのカオスな展開なんだったの?というレベルの物凄く普通の話が展開されていった印象。
ゴジュウジャーが完全に見限られない要因として、こういう人情要素がある程度は盛り込まれるので、一定数の一般受けというものは意識しているという担保も大きいと思います。
第5話 取り戻せ魂ソウル!スミにおけないお節介
常夏(七瀬公)の片腕として行動する角乃(今森茉耶)には、妹がいた。その妹は、誘拐事件でいまだ行方不明のまま。角乃は大切な家族を取り戻そうと、危険な目に遭いながらも奮闘していたのだ。しかし、彼女はなぜかエンゲージできずにいた…。
「妹をさらった犯人への復讐」が自分の願いだと言う角乃だが、ケガをした男の子にばんそうこうを貼ってあげる優しい一面も持っている。そんな彼女に吠(冬野心央)は、「お前の本当の願いは?」と問いかけて…!?
やがて、お節介ノーワンとのお節介ナンバーワンバトルが開幕! お節介が生む決意のエンゲージで、ゴジュウユニコーンが爆誕する!
紅一点の黒枠登場回。
女性枠がブラックというのは珍しいですが、近年の戦隊はピンクが男性だったり、初期メンバーがオレンジやバイオレットなのが割と当たり前になっていたりと、正直もう配色うんぬんでは全く驚かなくなってしまいましたね。
数話前から登場していた角乃の掘り下げ回かつ初変身の回で、角乃自身の戦う目的が視聴者目線で明確になったことで、やっとこさゴジュウジャーの面子に人間性が宿ってきた印象です。
しかしながら、15話時点ではまだ序盤とはいえ、角乃のお節介体質や、禽次郎のおじいちゃん設定がイマイチ話の中に綺麗に食い込まないので勿体なさも大いに感じます。
キャラの掘り下げという下処理は上手なのに、出来上がった脚本が火加減の甘い野菜炒め、というのがゴジュウジャー全体のイメージです。
第6話 決戦!常夏城の大冒険
常夏(七瀬公)が突然総理をやめて、ブライダンと手を組んだ!? 「常夏城」に呼び出された吠(冬野心央)たちは、指輪をうばうために、さまざまな試練に立ち向かうことに。鬼ごっこ、ドッジボール、さらにはカツラや衣装を身につけて“本気のおままごと”まで…! 常夏は一体何を考えているのか? 彼がかなえたい願い事とは…?
熱海常夏メインの回で、真面目に不真面目をするいつもの令和戦隊という感じの回。
今にして思えば、なんだかんだ熱海常夏って良いキャラしてたなぁとしみじみと感じます。
世渡り上手な腹黒さと、それに反する本心で分かり合える友の渇望という、根本はちゃんと人間らしいキャラではあったので、作品に入り込みやすい要因ではあったと思います。
理解はできないが、納得はできる。それが熱海常夏という人間性かなと。
正直、追加戦士として今後居続けても良かったんじゃないかと思える程だったので、このまま退場は寂しいところ。
おままごとのくだりはまあ、悪くないんじゃないですか?
童心=本心と考える常夏の、子供目線でも分かりやすい表現方法で中々嫌いじゃないです。
第7話 心ときめけ! 結集、ゴジュウジャー!
ピンチの角乃(今森茉耶)を助けた謎の巨大ロボに乗っていたのは、ティラノレンジャーで大学教授・往歳巡(上田堪大)だった。巡は、バラバラな吠(冬野心央)たちに、「戦隊ってのはな、オムライスなんや!」と熱く語り…!?
一方で陸王(鈴木秀脩)は、ときめきノーワンと、ときめきナンバーワン対決! 胸キュンバトルで角乃(今森茉耶)やブーケ(まるぴ)たちをときめかせようとする中で、陸王の秘めた想いが明らかに…!
大獣神かっこよすぎだろ!の回。あと恒例(?)のグリリバ怪人回。
この辺りから「あ、ちゃんとレジェンド要素のファンサービスをやる気はあるんだ」ということが分かったので、ゴジュウジャーの評価がちょっとだけ持ち直しました。
戦隊考古学とかいう浪漫しかない研究で飯食えてるのすごく羨ましい。
話の流れとしては陸王と角乃の回で、陸王の過去も少しだけ明かされる掘り下げ回。ファンサービス回と同時進行なのはもうあらゆる先輩ジャーで慣れっこなので今更どうこう言いません。
あとちゃんと5人揃って名乗りました。
これは本当に安心しました。この作品ところどころドンブラザーズに似通った要素が多く、あいつらみたいに終盤まで一切名乗りをしない戦隊になるんじゃないかとヒヤヒヤしてたので。
もう老害と言われるのも致し方ないですが、スーパー戦隊で名乗りを疎かにするのだけは辞めていただきたいのです。邪道は別に構わないのですが、欠けて欲しくない王道は確かに存在します。
第8話 正邪ゆらめく、指輪の狩人
巡(上田堪大)をいきなり銃で撃ったのは、“指輪狩りの戦士”リングハンター・ガリュードだった! ガリュードは、ブライダンの女王の“切り札”らしい。
さらには吠(冬野心央)の前に、かつてノーワンワールドで失ったはずの兄・クオン(カルマ)が現れた! 吠はクオンとまた会えて喜び、兄弟で仲良く過ごす。しかし、そんな吠に異変が。巡のおかげでチームらしくなったはずなのに、ゴジュウジャーのメンバーを攻撃しだして…!? ついに、ゴジュウジャー同士の指輪バトルが開幕!?
この作品のぶっちぎりにやべーやつ、クオンお兄ちゃんの登場回。
俳優さんのねっとりした演技力でこのキャラの魅力は十二分に引き上げられています。
良い意味で気持ち悪いです!
ストーリー的にも吠が暴走するきっかけを作り出すなど、シリアス方向に引き締めるお膳立てをしてくれたキャラでもあり、15話で問題になった求婚発言も相まってこれからの活躍に期待です。
心なしかジャグラスジャグラーに似てる気がする。
第9話 アンブレイカブル・ウルフ
何もかも変わってしまったクオン(カルマ)との再会をきっかけに、ゴジュウジャーをやめた吠(冬野心央)。再びはぐれ者になった吠は、とあるカフェでアルバイトを始めた。そこへ突然ファイヤキャンドル(三本木大輔)が現れ、吠と執事バトルをすることに…!?
その頃テガソードの里には、クオンの姿が。ガリュードの圧倒的な力にゴジュウレオン達は大ピンチに…!!駆けつけた吠の決断が彼に新たなる力を与える…!
吠の覚醒回。あとファイヤキャンドルさんの株バクアゲ回。
シンケンジャーの腑破十臓、ゴーカイジャーのバスコ、ジュウオウジャーのバングレイのような、レッドに特別な因縁を持つ敵幹部枠、控えめに言って好きです。
しかもその敵をきっかけに傷心したレッドが立ち直り覚醒する流れは、これぞスーパー戦隊と言わざるを得ない要素でしょう。
最初の1話~3話が嘘のように、しっかりと人間性が浮き彫りになった吠に私の評価はどんどん上がっていきます。…まあ好き、とはまだ言えないです。ただ感情移入はいくらかしやすくなったのでそこが評価点です。
第10話 イケイケドンドン! 昭和が来た!
突然現れた昭和ノーワンが、「令和なんか認めんぞ~!」と大暴れ! 禽次郎(松本仁)と角乃(今森茉耶)を巻き込み、街中のあらゆるものを昭和に変えてしまった。やがて禽次郎は、昭和ノーワンとモーレツにエモい昭和ナンバーワンバトルを始めるが…!?
一方で、クオン(カルマ)に連れ去られた巡(上田堪大)に異変が。巡が乗っていた大獣神が暗黒に染まり、ゴジュウジャーに牙をむく。
東映スタッフ特有の年号で遊ぶ回。お前たちの令和って醜くないか?って言ってそう。令和生まれだけを吸い込むブラックホールが生まれそう。
こういうタイプのぶっ飛んだギャグ回は、我々戦隊オタクにとっては最早日常茶飯事となってしまいましたね。良い箸休め回でした。
そんなギャグ回のせいで、日本にクリスマスにシャケを食う習慣を根付かせたのは草以外の何物でもない。
そして終盤のロボ戦で現れた、ブラック大獣神が格好良いにも程がある。

第11話 解き放て野生! 野獣遣いが笛を吹く
1人でいる陸王(鈴木秀脩)の前に、新たな指輪の戦士・バルイーグルとジュウオウイーグルが現れた! さらにはテガソードの里に、“さすらいの野獣遣い”等々力凱亜(中村優一)がやってきた。その正体は、指輪の戦士・ガオレッドだった!
そんな中、街に鬼ごっこノーワンが現れ、陸王たちと凱亜は鬼ごっこナンバーワン対決をすることに。やがて鬼ごっこ中に、吠(冬野心央)の様子がおかしくなり…!?
ガオレンジャー回。あの坂本浩一監督が担当ということもあり、ゴジュウジャーなのにゴーカイジャー並のファンサービス回となる前後編の前編です。
ただまあ、前編は割と控えめで、「さすらいの野獣遣いってなんだよ」とか、「野獣と対となる楽器と音色ってなんだよ」とか、軽めのジャブで終わった印象。いや軽くないか。
鬼”ごっこ”ノーワンに隠れていた本物の鬼が現れるとかいうオサレムーブがいかにも坂本監督らしい11話でした。
第12話 邪鬼、吼える!!
凱亜(中村優一)が探していた“一本角の野獣”とは、鬼ごっこノーワンの中から出てきた謎のノーワンだった。婚約者・瑠菜(星波)を取り込んでいるノーワンに、凱亜は獣のように飛びかかったが、逆に大ダメージを負ってしまう…。
キズの手当てをされる凱亜が秘めた過去を語り出すと、彼の“真の願い”に陸王(鈴木秀脩)が気づき…。
ノーワンに再び立ち向かう凱亜に、陸王は協力を決意する…!
まごうこと無きガオレンジャーのレジェンド回。ほんとこの2週だけゴーカイジャー並の熱量なんですよねぇ。
ガオレンジャー放送当時に酷似したテロップ、「百獣合体! ガオキング」のイントロと、いちいちオタクのツボを突いてくる演出の応酬でとても楽しい回でした。
ただのレジェンド回というわけでもなく、婚約者を失ってヤケになっている凱亜に、思い出の音色を通じて諭す展開は非常に丁寧で素晴らしい完成度でした。
まあ、その歌もガオレンジャー本編が原産地ですが…。
ただ、凱亜はこれだけファンに寄せたキャラ作りをしたせいで、今までゴジュウジャーのメインコンセプトを思われていた「歴代戦隊へのアンチテーゼ」という要素が薄めに感じられました。
それでも、そのアンチテーゼを失くした結果ちゃんと面白い作品になってしまったので、益々「ゴジュウジャーとはなんだったのか…?」という戸惑いが強くなってしまう結果となりました。
第13話 家政婦激走! 竜儀の流儀
竜儀(神田聖司)たちの前に、新たな指輪の戦士・レッドレーサーが突然現れた。その正体は、竜儀を実家に連れ戻しにきたスーパー家政婦・家守召子(松田リマ)だった! しかし、竜儀は「あの家には戻らない」と彼女を拒絶。誰も知らなかった竜儀の秘密が、召子によってついに暴かれる!
さらには、街にマナーノーワンが現れ、竜儀は礼儀正しくマナーナンバーワンバトルをすることに。一般常識やテーブルマナーなど、この対決で“竜儀ぼっちゃん”が本領発揮する…!?
竜儀掘り下げ回であり、カーレンジャー回。
カーレンジャーというぶっ飛んだ戦隊で、事細かなマナーを重視するキャラを演じるというのが今回のアンチテーゼ。
前回のガオレンジャーの熱量を下回るが、決して手を抜いてるわけでない丁度良い塩梅のレジェンド回という感じ。ぶっちゃけ良くもないが悪くもない無難さです。
ただまあ、女性にレッドレーサーのスーツを着せたり、次回になりますがボーゾックを彷彿とさせる闇堕ちをさせたり、その挑戦自体は結構面白いなと思いました。
第14話 神聖従者と、テガソード伝説!
召子(松田リマ)が竜儀(神田聖司)を心配しすぎて、暴走レッドレーサーになってしまった! 暴走する召子は、自分と竜儀の幼い頃を思い出す。召子にとって忘れられない、竜儀との大切な思い出とは…?
「ぼっちゃまの安全を守りたい」召子と、彼女に「信じる心こそが生きる標となる」ことをわかってほしい竜儀は、やがて激しくぶつかり合う。はたして、2人の想いの行く末は? そこにブライダンが乱入し、とんでもない事態に…!
カーレンジャー回の後半戦。
ただカーレンジャー回というより、竜儀回に大分とフォーカスした出来ですね。
それならそれで全然良いと思いますし、互いの譲れないところでぶつかり合う展開は戦隊らしさがあって嫌いじゃないです。
ここまでレジェンド回と各メンバーの掘り下げ回をこなしていますが、テンポ自体は悪くないですね。
まあ、どうせ全戦隊のレジェンド回はやるわけがないというのは初めから分かりきっていたので、下手にお祭り感を出さずにゴジュウジャーの個性を掘り下げてもらったほうが、視聴する側としては嬉しいところです。
第15話 ストップ・ザ・ジューンブライド
6月になり、ブライダンが“ある計画”のために動き始めた! テガジューンの命令で、Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークはテガソードの里へ。ファイヤキャンドル(三本木大輔)はお化け屋敷へ向かい、吠(冬野心央)たちとばったり会う。ブーケ(まるぴ)は、花畑で“推し”陸王(鈴木秀脩)と再会し…!?
さらには、テガジューンがテガソードと結婚!? この結婚が成立すれば、世界が終わってしまうらしい…。一体ブライダンは、何をたくらんでいるのか?
キモさここに極まる。みたいな回。クオン兄さん、お前どこ目指してんだよ…!
もうそろそろ大筋の本編に動きがある頃と思っていましたが、なんか唐突に世界が終わりました。
何もわからず話が進む不気味さ、テガジューンのどこまで本気なのか分からない愛情、クオン兄さんにキモさ、マジで思考が全く追い付かない真っ暗闇のジェットコースター脚本に、ただただ戸惑うしかないのでした。
正直、クオンに全部持っていかれてしまったので、内容あんまり覚えてないです。
強烈なキャラは毒にも薬にもなるので、クオンの扱いの如何でゴジュウジャーの評価はかなり変わることでしょう。
まとめ
全体的な良し悪しを纏めると…
良い点
・スーツとロボのビジュアルがスマートでかっこいい
・各キャラの掘り下げがしっかりしている
・歴代戦隊へのアンチテーゼの扱いが上手い
・(良い意味で)クオンがキモい
悪い点
・主人公、吠の性格の癖が強く万人受けし辛い
・話の風呂敷を広げるだけ広げて、回収の目途が立つのか心配(序盤なので仕方ないが)
・キャラの掘り下げは出来ているがまだまだ薄い
・テガソードが1体しかいないので、ロボ戦がタイマンしかできない(ニンニンジャーのセンタイリングの能力常設しろ)
・(悪い意味で)クオンがキモい
こんな感じ。あくまで個人的な見解です。
最初の1話~3話は、正直ちょっと視聴キツいな…というレベルだったのですが、最近はちゃんとキャラが掘り下げられて持ち直してる感覚があります。
とはいえ、まだまだゴジュウジャーを形作る個性みたいなものが未だほとんど見えてこないので、今後の展開でどう転ぶのかが注目ですね。
それではこの辺で、終わります。

第2章の区切りが付いたら、またこの記事を書きます!
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