はじめに
「メタファー:リファンタジオ」とは、株式会社アトラスにて制作された超王道RPG作品です。
公式HP:https://rpg.jp/
2024年の後期に発売され、全世界で100万本売れたということ。何より、あの人気RPGのペルソナシリーズを手掛けるスタッフが満を持して送り出した作品として一躍脚光を浴びました。
ただ、2025年になって改めて私が思ったのは…

なんか思ったより売れてないような…?
という感想でした。(海外ではめっちゃ売れてるみたいです)
あんなに面白くてメッセージ性の強い作品が売れない理由としては、
・スマホゲー等の手軽に触れるゲームの流行に逆行する据え置きタイプ
・プレイ時間を大幅に費やすゲームが出来ない、時間に追われる人が多い
・日本製より遥かにクオリティの高い海外製の作品の台頭
…という、ジャンル界隈の売れにくさに加え、
・キャラデザが特徴的すぎる(※多分これが一番の原因な気がする)
・ペルソナシリーズの舞台が現代なのに対し、完全ファンタジーのため脚本への不安が拭えない
・暗い雰囲気の作品で取っつき辛い
等が挙げられるかと思います。
ジャンル界隈の売れにくさはどうしようもないですが、
この「メタファー:リファンタジオ(※以降メタファーと呼称)」は、据え置きであるが故の重厚なボリュームと長編大作RPGならではの壮大な脚本が楽しめる、素晴らしいゲームです!
ここでは極力ネタバレを避け、これからプレイするかどうか迷ってる人に向けて、この作品の魅力をご紹介します。

平成初期~中期の王道RPGが好きだった人におすすめ!
PlayStation5/4、Xbox Series X|S、PC(steam)でプレイ出来るよ!

この作品の魅力
世界観
この作品、メタファーの魅力は何と言っても独特な世界観でしょう。
簡単に言うと、ドラクエやFF等の王道RPGによくある『剣と魔法のファンタジー世界』ではあるものの、他には見ない特徴が数多く取り入れられています。
①舞台のモチーフ
ドラクエ、惹いてはなろう系によくある中世ヨーロッパ的なテンプレートからは少し外しており、イタリアの所謂ルネサンス期の要素をふんだんに取り入れています。
ルネサンス期ってなぁに?という所は語ると長い、というか筆者もそんなに詳しくないのですが、一言で言うと『芸術の時代』です。
代表的なところだと、レオナルド・ダ・ヴィンチですね。モナリザとか最後の晩餐とか、多分知らない人はいないでしょう。
メタファーにも直接的な関わりは無いものの、彼を彷彿とさせるオブジェやアイテムが何かと主張してきます。
……実は筆者はイタリアとかフランスは昔から好きで、個人的に情報収集していた時期もあります。
知ってます?レオナルド・ダ・ヴィンチって本当に頭おかしいんですよ。(褒め言葉)
モナリザとかの影響で芸術家的な側面がよく認知されてますが、数学的な思考も持ち合わせていたり、人体解剖、航空力学などの科学分野や、建築、彫刻、果ては飛行機の発明までやってしまうという…まさに『万能の天才』なんですね。
彼の考え方とか探ってると学べるところも沢山あって面白いので、今度それをテーマに記事を書いてみてもいいかもしれませんね。
とまあ、少々脱線してしまいましたが、メタファーはそういった時代の芸術を取り入れつつ、更には人種差別や政治問題にも切り込んだ中々の意欲作でありながら、芯は勧善懲悪の王道展開にテイストした作品と言えるでしょう。

実は現代日本にスポットライトを当てた要素もあったりして、世界観の考察がとても捗っちゃう作品だよ!
②芸術的な敵キャラ
味方じゃなくて先に敵を紹介する、というのも変な話ですが、このメタファーに登場する敵がとにかくクセ強です。
先程、芸術が舞台のモチーフと述べましたが、特に取り入れらているのが『ヒエロニムス・ボス』という画家の作品です。
ボスの絵で代表的な『快楽の園』というのがあるのですが、非常に奇天烈なクリーチャーが跋扈する絵になっており、この中の数体がメタファーに登場する敵に酷似しています。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ちなみに絵は3枚組で、ざっくり言うと左から天国、現世、地獄といった感じらしく、
この絵が何を表しているのかはマジで難解過ぎて未だに論争が起きるらしい…。
で、ここに描かれる珍妙な生き物?達は私達『人間』ではないかという解釈があり、
そこをモチーフとしてメタファーの敵キャラは作られたのだと思われます。
その証拠に、メタファーに登場する敵キャラの総称は『ニンゲン』でした。
※ネタバレですが、相当序盤に出てくるので許してください…。
何故ニンゲンと呼ばれるのか、その理由は是非プレイして見つけてください!

初見でこのニンゲン達が出てきたときは本当にびっくりしたよ…、小さい子は注意してね

キャラクター
世界観のクセが強ければ、当然キャラクターのクセもつよつよです。
ここでは軽く数人、ご紹介しましょう。
①主人公
出典:https://rpg.jp/
プレイヤーの分身ですね。キャラの設定とかはプレイしてれば分かるしネタバレになるので割愛。
キャラクターデザインは、歴代ペルソナシリーズの常連である副島成記氏によるものですが、ペルソナシリーズが現代日本が舞台だったため、今回のような明らかに日本人離れした容姿を描くのは珍しいような気がします。
オッドアイに加えてやや黒めの肌で、一見すると癖のあるデザインですが、少なくとも世界観には非常にマッチしていると思います。
というのも、このメタファーの世界には、主人公のような人間らしい姿の他に、エルフや獣人、鳥人、三つ目の種族なんかもいて、それらと比べたら主人公の容姿は平々凡々です。
とにかくキャラクターの見た目で敬遠されがちな作品ですが、実はそんなプレイヤーが抱く心情さえも読み取り、それを絡めたような脚本を魅せる時があります。
その中でプレイヤーが動かす分身となる主人公。ペルソナシリーズをご存じの方は分かるかと思いますが、主人公はとにかく口数が少ないです。
その寡黙さが一層作品に対する没入感を生み出す要素となるため、主人公の存在は極力背景に溶け込ませる…そういった意図があってのデザインなんだと勝手に思っています。
ちなみに全く喋らないというわけではなく、喋る台詞はプレイヤーが選択出来ます。
それがストーリーに影響する、というのはあまりないですが、主人公を冷徹なキャラにするか、天然な面白キャラにするかは自由自在です。
ついでに最序盤のネタバレになってしまうのですが…
出典:https://rpg.jp/
この最初の選択肢、ここだけは主人公の初期パラメーターに影響するので、ふざけない方が賢明です。
特に、「運だけはいい」は選ばない方が良いです。言葉通り運以外の全パラメーターが下がります。
まあ所詮は初期値なので、後から取返しが効くため、仮に選んだとしてもリセットする程ではないです。

筆者は一週目は「頭脳を活かしたい」を選んだよ!
この会社の作品をいくつかやってて傾向は知ってたから、とにかく力or魔を上げていく方針だと大抵上手くいく気がするっていうのが理由だね!
②ストロール
出典:https://rpg.jp/
フルネームは「レオン・ストロール・ダ・ハリエイタス」。田舎の元貴族で、訳あって金の無い平民達に交じって兵士に志願していたところで主人公と出会います。
ペルソナシリーズではお馴染みの相棒ポジ、最初の仲間ってやつです。
普段口数の少ない主人公に反して沢山喋ります。主人公、惹いてはプレイヤーの代弁者としてあらゆる場面で様々な人物と会話するので、裏の主人公とも言うべき存在です。
このメタファーという作品の裏テーマとして、劣悪な縦社会や人種差別がこれでもかと詰め込まれており、主人公もあの世界では下の存在とされ差別されています。
そのため、もう序盤からずーっとモブや敵に対して言い返せずヘイト溜まりっぱなしなのですが、ストロールの貴族的な思想と言動で幾度となく救われます。
暗い雰囲気を緩和させる清涼剤でありながら、彼自身も辛い宿命を背負っているため、この作品屈指の人気キャラといえるでしょう。
ちなみに、筆者がメタファーのキャラでの推しを上げるとするなら、真っ先に彼の名を上げます。

彼の信条はまさに「ノブレス・オブリージュ」!
ファンタジー世界の貴族って悪いイメージのキャラが多いけど、こういうタイプは考え方に芯があってカッコいいよね!
③ガリカ
出典:https://rpg.jp/
画像では分かり辛いですが、手の平サイズの妖精です。
ストロールが主人公とプレイヤーの代弁者であるなら、ガリカは案内役です。
非戦闘員ではあるものの、行動に迷うプレイヤーに対して、行動の指針やアドバイスをこまめに行ってくれる大切な存在…一応、ヒロイン?だと思います。
まあ、彼女に関しては語り出すとどんどんネタバレが漏れ出すので、あまり話すことは無いです。
担当CVが諸星すみれちゃんということだけ覚えて帰って下さい。

諸星すみれといえば、星宮いちご!
アイカツ!という伝説のアニメシリーズをみんな視聴しよう!
そして藤堂ユリカ様を崇め奉れ!!

ゲームシステム
①バトルパート
メタファーの戦闘システムは、古き良きRPGでお馴染みコマンドバトルです。
リアルタイムでシームレスな、オープンワールド辺りが流行している昨今においては、時に時代遅れとして酷評されることもありますが、個人的には大好きな要素です。じっくり考えられるし。
ただ単純に、キャラの順番が来て、コマンド選んで攻撃、敵のターンが来て攻撃、みたいなものではなくさすがに捻ってあります。
メタファーの戦闘は所謂プレスターンバトルシステムと呼ばれるもので、アトラスの代表作である「女神転生シリーズ」ではお馴染みのシステムですね。
プレスターンアイコン…ざっくり言うと行動回数というものがキャラ1人につき1つあり、行動するごとに1消費、0になったら相手のターンへ…というものになります。
これが中々に奥深いもので、例えば味方のターンが回ってきたとき、そのキャラの攻撃が効き辛いという状況だった場合、何もせず次のキャラに行動を回せます。
その際のアイコン消費は1/2となり、さらに相手に弱点を突くと、次の行動も1/2消費となります。
要は、相手の弱点を突きまくり、如何に相手に何もさせず速攻を決めるかという戦いになります。
逆に決めきれずに相手にターンが回ってしまった場合、往々にして敵の火力はやたら高いので普通に全滅しちゃいます。
戦闘は程よく高難易度で、さらに育成要素もふんだんに盛り込まれているため、単純なRPGとしてもかなり高いレベルで纏まってると思います。

ザコ敵の不意打ちを喰らって一瞬で全滅してゲームオーバーする時もある、この理不尽さこそアトラス作品の醍醐味…!
②フィールドパート
メタファーは戦闘やシナリオ以外にも、やれることが盛りだくさんです。
フィールドパート、所謂「自由行動」の際は、昼と夜の1日2回の行動が許されます。
この行動時に買い物したり、仲間と親交を深めたり、主人公の能力を上げる行動をしたり、街の住人の困りごとを解決したりと本当に色々出来ちゃいます。
これは筆者個人の意見ですが、オープンワールドのように無限とも言える選択肢の多さをいきなり突き付けられるより、限られた時間で最も効率的な行動を探す方が、考えや行動が一貫し易く楽しめると思います。まあオープンワールドは勿論楽しいですが、RPGのような道筋があるシナリオは描き辛いかなと思います。
この自由行動のシステムはペルソナ3~5で採用されたものであるため、同社かつ同制作陣の経験が詰め込まれまくっていますね。

主人公の能力値、仲間の親交度を初見でMAXにするチャレンジ、みんなやるよね?
終わりに
以上で筆者の作品紹介は終わりです。
元々筆者はペルソナシリーズが好きで、今回のメタファーも発表されたときからずっと注目していた作品です。
そんな人間なので、多少(?)ひいき目になってしまいますが、昨今のJRPGの低迷を覆すような素晴らしい大作に仕上がってると思います。
近年の傾向として、海外産かつ対人要素の強いゲームが高いシェアを誇っていると思いますが、筆者は正直STGや対人アクションは苦手なので、国内でもっともっと高いクオリティのRPGを世に送り出して頂きたいです。
個人的には、ラジアータストーリーズとか、ローグギャラクシーとか、あの頃の挑戦的なRPGを所望します。※巷ではクソゲー扱いされる2作品ですが、そんなことないと思います!
JRPGというジャンルの益々の繁栄を祈りながら、この場を締めたいと思います。

またのご利用をお待ちしております、コージュラ!

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